脳梗塞の超急性期治療
発症6時間以内の急性期脳梗塞患者には、可能な限り迅速にIV alteplase(アルテプラーゼ静注)による血栓溶解療法を実施し、大血管閉塞が確認された場合は血管内血栓回収療法(EVT)を併用すべきです。1
時間枠別の治療アルゴリズム
発症3時間以内
- IV alteplase 0.9mg/kg(最大90mg)を60分かけて投与し、初回10%をボーラス投与します1
- 年齢制限なし:18歳以上であれば80歳未満でも80歳以上でも同等に推奨されます1
- 重症例でも適応:出血性変化のリスクは増加しますが、臨床的利益が証明されています1
発症3〜4.5時間
- 同じ用量のIV alteplaseが推奨されますが、以下の条件を満たす必要があります1:
- 80歳以下
- 糖尿病と脳卒中既往の両方を持たない
- NIHSS≤25
- 経口抗凝固薬を服用していない
- 中大脳動脈領域の1/3以上の梗塞所見がない
発症6時間以内(大血管閉塞例)
- 前方循環の近位部大血管閉塞が確認された場合、機械的血栓回収療法を実施すべきです2, 3
- 6つのランダム化比較試験のメタ解析では、modified Rankin Scaleで1段階以上の改善を得るためのNNT(治療必要数)は2.6でした2
- IV alteplaseの適応がある場合でも、EVTは併用実施します3
治療前の必須条件
血圧管理
- 収縮期血圧<185mmHg、拡張期血圧<110mmHgに安全に降圧できることを確認してから投与します1
- 降圧後の血圧安定性を評価することが重要です
画像評価
- 頭部CTで出血を除外することが絶対条件です1
- 軽度〜中等度の早期虚血性変化(明らかな低吸収域以外)があってもalteplase投与は推奨されます1
- 大血管閉塞の評価にはCTアンギオグラフィーまたはMRアンギオグラフィーが必要です2
血糖値
- 血糖値>50mg/dLであれば投与可能です1
抗血小板薬服用中の患者
絶対禁忌
重要な臨床的注意点
時間依存性
治療効果は時間に強く依存するため、適応がある場合は可能な限り迅速に治療を開始すべきです1。2018年AHA/ASAガイドラインでは、時間と転帰の強い相関が強調されています。
特殊な患者群
- 末期腎不全で血液透析中、aPTT正常の患者:投与推奨1
- これは比較的新しいエビデンスに基づく推奨です
最新の展開
2021年のヨーロッパ脳卒中機構ガイドラインでは、MRIでDWI-FLAIRミスマッチを認める睡眠中発症例に対するalteplase投与が推奨されています4。これは「組織ウィンドウ」の概念を反映しており、時間枠を超えた治療選択の可能性を示唆しています。
血管内治療の拡大
DAWN試験とDEFUSE 3試験により、適切な画像選択(臨床-画像ミスマッチまたは灌流-拡散ミスマッチ)を用いれば、最大24時間までEVTの適応が拡大されています2。ただし、これは厳密な画像基準を満たす症例に限定されます。