ギラン・バレー症候群(GBS)
髄液所見で細胞数≤1/µLかつ蛋白≥150 mg/dLの場合、最も可能性が高い診断はギラン・バレー症候群(GBS)です。 この所見は「蛋白細胞解離(albumino-cytological dissociation)」として知られ、GBSの古典的な特徴です11。
診断の根拠
蛋白細胞解離の意義
- GBSの古典的所見は、髄液蛋白の上昇と正常な細胞数の組み合わせです1
- この所見は診断を強く支持しますが、発症早期(第1週)では30-50%の患者で蛋白が正常範囲であることに注意が必要です11
- 第2週でも10-30%の患者で蛋白が正常のため、正常蛋白値でもGBSは除外できません1
細胞数の重要性
- 細胞数>50/µLの著明な多形核球増多は、GBSではなく他の病態(髄膜癌腫症、感染性または炎症性の脊髄・神経根疾患)を示唆します11
- 軽度の多形核球増多(10-50/µL)はGBSと矛盾しませんが、感染性多発神経根炎などの鑑別診断を考慮すべきです11
- 細胞数≤1/µLは正常範囲であり、GBSの診断基準に完全に合致します1
臨床的注意点
必須の臨床評価
GBSの診断には髄液所見だけでなく、以下の臨床的特徴が必要です1:
- 進行性の両側性四肢筋力低下(初期は下肢のみの場合もある)
- 罹患肢の腱反射減弱または消失(経過中のいずれかの時点で)
診断を強く支持する所見1
- 進行期が数日から4週間(通常2週間未満)
- 症状・徴候の相対的対称性
- 両側性顔面神経麻痺などの脳神経障害
- 自律神経障害
- 筋肉痛または神経根痛
重要な除外診断
以下の所見がある場合、GBS以外の診断を考慮すべきです1:
- 発症時の発熱
- 著明で持続的な非対称性筋力低下
- 発症時または経過中の持続的な膀胱直腸障害
- 明確な感覚レベル(脊髄損傷を示唆)
- 腱反射亢進またはクローヌス
予後と治療の緊急性
疾患の重症度
治療推奨
独歩不能な患者には、発症2週間以内に以下のいずれかを開始すべきです2:
- 静注免疫グロブリン(IVIg) 0.4 g/kg/日を5日間、または
- 血漿交換(PE) 12-15Lを4-5回に分けて1-2週間で実施
発症2-4週間の患者にも治療を考慮すべきです(GPP)2。
呼吸機能モニタリング
すべての患者で呼吸機能を継続的にモニタリングする必要があります。呼吸困難の自覚症状なしに呼吸不全が発生する可能性があるためです11。
診断確定のための追加検査
- 電気生理学的検査:診断支持に有用ですが、発症1週間以内や軽症例では正常のこともあります11
- 抗ガングリオシド抗体:典型的な運動感覚型GBSでは臨床的価値が限定的ですが、Miller Fisher症候群が疑われる場合は抗GQ1b抗体検査を考慮すべきです2