ギラン・バレー症候群以外で蛋白細胞解離を呈する疾患
髄液蛋白のみが上昇する蛋白細胞解離(アルブミン細胞解離)は、ギラン・バレー症候群以外では、血管性認知障害(特に皮質下虚血性血管性認知症)、MOG抗体関連脳脊髄炎、結核性髄膜炎、真菌性髄膜炎、神経サルコイドーシス、脊髄・神経根の腫瘍性疾患で認められます。
主要な鑑別疾患
血管性認知障害(VCI)
血管性認知障害、特に皮質下虚血性血管性認知症(SIVD)では、血液脳関門の破綻により髄液中のアルブミン指数が上昇します11。これは血管性疾患に特異的な所見であり、アルツハイマー病では認められません11。白質病変を伴う糖尿病患者でも血液脳関門の破綻が確認されています1。
MOG抗体関連脳脊髄炎
MOG抗体関連脳脊髄炎では、髄液所見がCNS感染症を模倣することがあり、好中球優位の細胞増多、血液脳関門機能障害、オリゴクローナルバンドの欠如を呈することがあります2。ただし、細胞数が100個/μl以上になることもあり(28.1%の患者)、純粋な蛋白細胞解離とは異なる場合があります2。
感染性疾患
結核性髄膜炎・真菌性髄膜炎
結核性髄膜炎と真菌性髄膜炎では、髄液圧上昇と蛋白上昇を認めます3。ただし、これらの疾患では通常、細胞数も上昇するため、完全な蛋白細胞解離を呈することは少なく、鑑別が必要です3。
その他の感染性疾患
神経梅毒、神経ボレリア症、神経結核症、ベーチェット症候群なども鑑別に挙げられます2。
腫瘍性疾患
これらの疾患では、腫瘍細胞による髄液蛋白の上昇が認められますが、細胞診で腫瘍細胞が検出されることがあります。
その他の炎症性疾患
重要な臨床的注意点
ギラン・バレー症候群における蛋白細胞解離の特徴
ギラン・バレー症候群では、発症1週間以内では30-50%の患者で髄液蛋白が正常であり44、2週目でも10-30%が正常です4。したがって、正常な髄液蛋白値はギラン・バレー症候群を除外しません44。
細胞数の解釈
- 50個/μl以上の著明な細胞増多は、軟髄膜悪性腫瘍、感染性疾患、脊髄・神経根の炎症性疾患を示唆します44
- 10-50個/μlの軽度細胞増多はギラン・バレー症候群でも認められますが、感染性多発神経根炎などの代替診断を考慮すべきです44
- MOG抗体関連脳脊髄炎では、細胞数が306個/μlまで上昇することがあり、好中球優位(最大69%)を呈することもあります2
診断アプローチ
蛋白細胞解離を認めた場合、以下を評価すべきです: