肝酵素異常の精査のための検査項目
肝酵素異常を認めた場合、初期検査としてビリルビン、アルブミン、ALT、ALP、GGTおよび全血球計算を実施し、その後標準的な肝疾患病因スクリーニングとして腹部超音波検査、ウイルス性肝炎マーカー、自己抗体パネル、免疫グロブリン、フェリチンおよびトランスフェリン飽和度を測定すべきである。1
初期検査項目(第一段階)
肝酵素異常が判明した時点で、以下の検査を実施します1:
- ビリルビン(総ビリルビン)
- アルブミン
- ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)
- ALP(アルカリホスファターゼ)
- GGT(γ-グルタミルトランスフェラーゼ)
- 全血球計算(過去12ヶ月以内に未実施の場合)
これらの検査により、肝細胞障害型(ALT/AST優位)か胆汁うっ滞型(ALP優位)かのパターンを判別します。
標準的な肝疾患病因スクリーニング(第二段階)
重要な注意点: 肝酵素異常の程度や持続期間に関わらず、基準値を超えている場合は病因スクリーニングを実施すべきです1。異常の程度は必ずしも臨床的重要性を示すものではありません1。
成人の標準スクリーニング項目1, 2:
画像検査:
- 腹部超音波検査(脂肪肝、肝硬変、胆道系異常の評価)
ウイルス性肝炎:
- HBs抗原
- HCV抗体(陽性の場合はPCRでフォローアップ)
自己免疫性肝疾患:
- 抗ミトコンドリア抗体(原発性胆汁性胆管炎)
- 抗平滑筋抗体(自己免疫性肝炎)
- 抗核抗体
- 血清免疫グロブリン
代謝性肝疾患:
- 血清フェリチンとトランスフェリン飽和度(同時測定、遺伝性ヘモクロマトーシス)
小児の場合の修正点1:
フェリチンとトランスフェリン飽和度は必須ではありませんが、以下を追加します:
- 抗肝腎ミクロソーム抗体
- セリアック病抗体
- α1-アンチトリプシン値
- セルロプラスミン(3歳以上、Wilson病スクリーニング)
異常値が出た場合は遺伝性代謝疾患専門医に相談が必要です。
臨床的アプローチの重要ポイント
結果解釈の前提条件1:
- 過去の検査結果を必ず確認する - 新規異常か慢性的な異常かを判別
- 既往歴と現在の医学的状態を評価する
- 服用薬剤を詳細に聴取する(処方薬、市販薬、サプリメント、漢方薬を含む)
パターン別の追加検査
肝細胞障害型(ALT/AST優位)の場合3:
- HAV抗体(急性肝炎の疑い)
- アルコール摂取歴の詳細な聴取
- 薬剤性肝障害の評価
胆汁うっ滞型(ALP優位)の場合3:
- 原発性硬化性胆管炎の評価(必要に応じてMRCP)
- 胆道系の詳細な画像評価
NAFLDが疑われる場合の追加評価
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)が疑われる成人では、線維化リスク評価が必要です1:
- 第一選択: FIB-4スコアまたはNAFLD Fibrosis Score(NFS)を計算
- これらのスコアは肝線維化の程度を評価し、専門医紹介の必要性を判断します