敗血症性ショックにおけるアルブミン投与
敗血症性ショックの患者が大量の晶質液を必要とする場合、アルブミンを晶質液に追加して投与することが推奨されます。
推奨の根拠
Surviving Sepsis Campaign 2016ガイドラインは、敗血症性ショック患者が大量の晶質液を必要とする場合、初期蘇生および血管内容量補充にアルブミンを晶質液に追加して使用することを提案しています(弱い推奨、低質のエビデンス)1111。
重要な適応基準
アルブミン投与の適応となるのは以下の状況です:
- 大量の晶質液投与が必要な場合:初期蘇生で30 mL/kg以上の晶質液を投与しても血行動態が安定しない患者
- 持続的な循環不全:晶質液のみでは十分な血管内容量が維持できない状況
- 低アルブミン血症を伴う場合:血清アルブミン値が3.0 g/dL未満の患者2
臨床的エビデンスの解釈
死亡率への影響
最新の大規模研究では、アルブミン投与による明確な死亡率改善は示されていません:
- ALBIOS試験(2014年、1,818例):28日死亡率に差なし(相対リスク1.00; 95%CI 0.87-1.14)2
- 2026年ドイツ多施設試験(440例):90日死亡率に差なし(相対リスク0.94; 95%CI 0.76-1.17)3
しかし、20%高濃度アルブミンを使用した場合、敗血症性ショック患者の90日死亡率が有意に低下する可能性が示唆されています(オッズ比0.81; 95%CI 0.67-0.98)4。
実際の臨床的利点
アルブミンは以下の点で有用性があります:
投与プロトコル
投与量と濃度
投与速度の注意点
低蛋白血症患者では投与速度を2 mL/分以下に制限してください6。これらの患者は通常、血液量が正常であるため、急速投与は循環過負荷や肺水腫を引き起こす可能性があります6。
重要な注意事項
禁忌・相対的禁忌
適応とならない状況
以下の慢性疾患では、アルブミン投与は正当化されません6:
- 慢性ネフローゼ症候群(投与したアルブミンが速やかに腎排泄される)
- 慢性肝硬変に伴う低蛋白血症
- 吸収不良症候群
- 蛋白漏出性腸症
モニタリング
- 循環過負荷の徴候を注意深く監視
- 血圧急上昇による出血リスクの評価
- 腎機能のモニタリング(高濃度アルブミンは腎機能障害患者で腎代替療法のリスク増加の可能性)5
実践的アプローチ
- 初期蘇生:まず晶質液30 mL/kg以上を投与
- 評価:血行動態反応が不十分で大量の晶質液が必要な場合
- アルブミン追加:20%アルブミンを晶質液に追加(目標血清アルブミン≥3.0 g/dL)
- 継続評価:血行動態改善が続く限り体液投与を継続1
この推奨は、アルブミンが死亡率を劇的に改善するわけではないものの、体液バランスと血行動態の安定化に寄与し、大量晶質液投与による合併症を軽減する可能性があるという理解に基づいています。