てんかん発作後のアンモニア高値について
てんかん発作後、特に全般性強直間代発作(GTC発作)後には、血中アンモニア値が一過性に著明に上昇することがあります。1
発作後高アンモニア血症の特徴
発生頻度と臨床的意義
- 発作患者の約68%で高アンモニア血症が認められます1
- 全般性強直間代発作(GTC発作)患者では、非GTC発作患者と比較して有意に高いアンモニア値を示します(中央値174.5 vs. 47 μg/dl、発生率76.5% vs. 21.1%)1
- 最大値は506 μmol/Lまで上昇した報告があります2
一過性の経過
この高アンモニア血症は自然に速やかに改善します。1
- 平均約8時間(466.79分)で、アンモニア値は250から54 μg/dlへ自然低下します1
- 発作後8時間以内にアンモニアを測定することが推奨されます1
- 17例中17例で一過性の高アンモニア血症が確認されています3
発生メカニズム
高アンモニア血症の原因は複合的です:
関連因子
以下の因子が高アンモニア血症と有意に関連します1:
- 全般性強直間代発作(p < 0.0001)
- 男性(p < 0.0001)
- 重炭酸イオン値(p < 0.0001)
- 糖尿病(p = 0.0139)
- アルコール関連発作(p = 0.0002)
鑑別診断における重要性
発作後の一過性高アンモニア血症は、他の意識障害の原因では認められません。3
- 肝性脳症患者では持続的な高アンモニア血症を示しますが、一過性ではありません3
- 他の意識障害の原因(肝性脳症を除く)では、救急外来到着後数時間以内の一過性高アンモニア血症は認められません3
- したがって、一過性高アンモニア血症は最近のてんかん発作の指標となり得ます3
最近の研究では、真のてんかん発作と心因性非てんかん発作の鑑別にも有用である可能性が示されています(AUC 0.972,95% CI: 0.94-0.99, P < .001)4
臨床的対応
重要な注意点
発作後の一過性高アンモニア血症は自然軽快するため、アンモニア低下療法は不要です。1
肝疾患との鑑別
ガイドラインでは、肝疾患患者における意識障害・せん妄の評価において5:
- 正常なアンモニア値は肝性脳症の診断を疑問視させます
- 正常アンモニア値は高い陰性的中率を持ちます
- 肝硬変患者でせん妄があり、アンモニアが正常な場合は、他の原因の精査を促すべきです
注意すべき状況
以下の場合は、尿素サイクル異常症や肝疾患など他の原因を考慮する必要があります6: