炎症性腸疾患(IBD)術後患者における薬学的介入の症例報告
炎症性腸疾患(IBD)術後患者に対する薬学的介入に関する症例報告は存在し、特に生物学的製剤や免疫調節薬の周術期管理に焦点を当てた介入が重要である。1, 2
周術期の薬物療法管理に関する症例
- 欧州クローン病・大腸炎機構(ECCO)のガイドラインによると、IBD患者の手術介入時に生物学的製剤を継続することが可能であり、術後合併症リスクを増加させないことが示されている1, 2
- 免疫調節薬(アザチオプリン、メルカプトプリン、メトトレキサート)も周術期に継続可能であり、術後合併症のリスク増加は認められていない1, 2
- ステロイド療法については、可能な限り手術前に中止または最低用量(プレドニゾロン20mg/日未満)まで減量することが強く推奨されている1, 2
- トファシチニブ使用患者では静脈血栓塞栓症のリスクが高まるため、延長血栓予防が必要とされる1, 2
栄養状態の最適化に関する介入
- すべてのIBD患者において予定手術前に栄養状態の評価が推奨されている2
- 特に活動性疾患やクローン病患者では栄養不良が潰瘍性大腸炎患者よりも多く見られる2
- 穿通型・狭窄型クローン病や栄養不良のある患者では、術前少なくとも6週間の完全または部分的経腸栄養が考慮される2
- 術前の貧血補正は術後合併症リスク低減のために重要である2
術後薬物療法の再開に関する介入
- クローン病患者における手術後の生物学的製剤や免疫調節薬の再開または開始は、薬剤の種類、残存疾患の有無、再発リスク、術後合併症などの複数の要因に依存する1
- 残存疾患がない患者では、特に投与間隔の短い生物学的製剤で1回分の投与を見送ることができる1
- 残存疾患(例:回盲部切除後の肛門周囲クローン病)がある患者では、再燃リスクを減らすために可能な限り早期に治療を再開することが推奨される1
- 残存疾患の有無や治療の緊急性によっては、治療を2〜4週間以内に開始することができる1
術後合併症予防のための介入
- IBD患者は血栓塞栓イベントのリスクが高いため、すべての手術患者に血栓予防が推奨されている1
- 特に強いリスク因子(過去の静脈血栓塞栓症歴、65歳以上、肥満など)を持つ患者では、退院後も少なくとも8週間の血栓予防延長が推奨される1
- 術後の早期離床は術後の悪心・嘔吐・疼痛を軽減するために推奨されている3
- 腹壁の緊張を最小限に抑える体位は刺激と痛みを軽減するのに役立つ3
術後疼痛管理に関する薬学的介入
- 腹壁痛管理のための一次的非薬理学的介入として、腹横筋平面(TAP)ブロックや局所創傷浸潤などの局所麻酔技術が推奨されている3
- 局所創傷浸潤は多角的鎮痛の一環として推奨され、痛みスコアの有意な低減が報告されている3
- 持続的局所創傷注入カテーテルはオピオイドの必要性を一貫して減少させ、安静時および活動時の痛みスコアを低下させる3
注意すべき点と落とし穴
- IBD手術前に生物学的製剤を突然中止すると疾患の再燃を引き起こす可能性があるため避けるべきである2
- 可能であれば高用量ステロイドの継続は避けるべきであり、感染性合併症や吻合部漏出のリスクを増加させる2
- IBD患者の栄養評価を見落とさないことが重要であり、栄養不良は臨床転帰を悪化させる2
- トファシチニブ投与患者では延長血栓予防を怠らないことが重要である2