肺炎と無気肺における血液ガスの変化
肺炎と無気肺では、低酸素血症(PaO2低下、SaO2低下)が主な血液ガス異常として見られ、重症例では二酸化炭素貯留(高炭酸ガス血症)も合併することがあります。1
肺炎における血液ガス変化
- 肺炎では主に換気血流比(V/Q)ミスマッチにより低酸素血症が生じます(PaO2 <8 kPa、SaO2 <92%)1, 2
- 軽度〜中等度の肺炎では、シャント率は比較的小さく(約7%)、低V/Q領域への血流も限定的(約4%)です2
- 重症肺炎では、シャント率が増加(約22%)し、低V/Q領域への血流も増加(約11%)します2
- 肺炎患者の血液ガスでは、酸素分圧が自発呼吸時に平均47.20±10.46 mmHgであることが報告されています3
- 重症肺炎では代償性に呼吸数増加が見られますが、それでも酸素化障害を完全に補正できないことが多いです4
無気肺における血液ガス変化
- 無気肺では肺胞の虚脱により換気が行われない領域が生じ、シャントを形成します5
- 無気肺の範囲とシャント量には強い相関関係があり(r = 0.93)、動脈血酸素化障害の程度とも強く相関します(r = 0.99)5
- 無気肺による低酸素血症は、肺胞虚脱部位を通過する血流がガス交換されないことによって生じます5
- 無気肺の範囲が広いほど、動脈血酸素分圧(PaO2)の低下が顕著になります5
肺炎と無気肺が合併した場合の血液ガス変化
- 肺炎と無気肺が合併すると、それぞれの病態による低酸素血症が加算的に作用し、より重度の低酸素血症を引き起こします2, 5
- 重症例では、低酸素血症に加えて高炭酸ガス血症(PaCO2 >6.1 kPa)を伴う2型呼吸不全を呈することがあります1
- 肺炎と無気肺の合併では、V/Qミスマッチとシャントの両方の機序が働くため、100%酸素投与に対する反応が不完全となることがあります2, 6
臨床的意義と対応
- 肺炎患者では、SaO2 <92%またはPaO2 <8 kPaの低酸素血症は予後不良因子とされています1
- 適切な酸素療法により、PaO2 >8 kPaおよびSaO2 >92%を維持することが推奨されています1
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)の既往がある患者では、高濃度酸素投与により高炭酸ガス血症が悪化する可能性があるため、動脈血ガス測定による頻回なモニタリングが必要です1
- 非侵襲的換気(NIV)は重症肺炎による呼吸不全患者の酸素化を改善することが示されています(PaO2が47.20±10.46 mmHgから74.30±18.51 mmHgへ、SaO2が80.4±9.9%から94.5±2.6%へ改善)3