急性肝障害の管理
急性肝障害(ALF)患者は、ICUでの頻繁なモニタリングと早期の移植センターへの連絡を伴う集中治療管理が必要であり、原因の迅速な特定と原因特異的治療の開始が予後を改善します。1
初期管理と支持療法
即時対応
- ICU入室:全てのALF患者は集中治療室での頻繁なモニタリングが必要です1
- 移植センターへの早期連絡:評価プロセスの早期に移植センターとの連絡と適切な患者の転送計画を開始すべきです1
- 原因の特定:ALFの正確な病因を追求し、さらなる管理決定を導きます1
支持療法の要点
- 循環動態の最適化と血管作動薬サポート
- 持続的腎代替療法による体液バランス管理
- 必要に応じた人工呼吸管理
- 代謝パラメータの積極的監視2
原因特異的治療
アセトアミノフェン中毒(最も一般的な原因)
N-アセチルシステイン(NAC)は、アセトアミノフェン過量摂取が確認または疑われる全ての症例で速やかに開始すべきです。1
投与方法:
- 経口投与:初回負荷量140 mg/kg、その後70 mg/kgを4時間毎に17回投与1
- 静脈内投与(消化管出血や意識状態悪化時):
- 負荷量:150 mg/kgを15分かけて投与
- 維持量:50 mg/kgを4時間かけて投与、その後100 mg/kgを16時間かけて投与1
重要な注意点:
- 摂取後48時間以上経過していても有効な可能性があります1
- 血清アミノトランスフェラーゼ値が3,500 IU/L以上の場合、病歴が不明でもアセトアミノフェン中毒を強く示唆します1
- 活性炭(1g/kg経口):摂取後4時間以内であれば、NAC投与直前に投与可能です1
キノコ中毒(Amanita phalloides)
- ペニシリンG:30万〜100万単位/kg/日の静脈内投与を検討1
- シリビニン(シリマリン):30-40 mg/kg/日を3〜4日間投与(米国では未承認だが、ヨーロッパで広く使用)1
- 移植リスト登録:キノコ中毒によるALFは移植が唯一の救命選択肢となることが多いため、早期に登録すべきです1
薬剤性肝障害
ウイルス性肝炎
- B型肝炎:ラミブジン(またはアデホビル)の使用を検討(対照試験はないが)1
- ヘルペスウイルス:疑いまたは確認された症例では直ちにアシクロビルを開始1
- 免疫抑制患者や妊娠第3期の女性でリスクが高い
- 皮膚病変は約50%にのみ存在1
自己免疫性肝炎
コルチコステロイド(プレドニゾン40-60 mg/日)による治療を開始すべきです。1
Wilson病
- 移植なしでは一律に致命的と考えられます1
- 若年患者で溶血性貧血と血清ビリルビン≥20 mg/dLを伴う急性発症が特徴1
- アルブミン透析、持続的血液濾過、血漿交換による急性銅低下療法1
- ペニシラミンはALFでは推奨されません(過敏症リスク)1
妊娠関連(急性妊娠脂肪肝/HELLP症候群)
産科との相談と迅速な分娩が推奨されます。1
- 分娩後は通常急速に回復します1
虚血性障害("ショック肝")
心血管サポートが第一選択の治療です。1
- 移植はほとんど適応になりません1
Budd-Chiari症候群
- 基礎悪性腫瘍を除外した上で、肝不全を伴う肝静脈血栓症は肝移植の適応です1
合併症管理
肝性脳症と頭蓋内圧亢進
- 血漿交換:高アンモニア血症を発症したALF患者に使用を提案3
- 高張食塩水:頭蓋内圧亢進のリスクがある患者に使用を提案3
- ラクツロース(非吸収性二糖類):顕性肝性脳症に使用を提案3
- リファキシミン:顕性肝性脳症の補助療法として使用を提案3
- 侵襲的頭蓋内圧モニタリングは推奨されません3
- 中等度低体温療法(< 34°C)は日常的に推奨されません3
感染症予防
門脈圧亢進症関連出血
予後評価と移植適応
移植を考慮すべき状況:
- 血管作動薬サポートの必要性
- 高度の肝性脳症
- 不良な(亜急性)病因
- King's Criteria、MELD、ALF Group予後指数などの予後スコアが移植の必要性を示唆2