ヘルペス脳炎は典型的に発熱を伴う
**ヘルペス脳炎(単純ヘルペスウイルス脳炎)は典型的に発熱を呈します。**発熱は脳炎の診断基準において重要な副次的所見の一つとされています1。
診断基準における発熱の位置づけ
国際脳炎コンソーシアムの診断基準によると、発熱は脳炎の**副次的基準(minor criteria)**の一つとして明確に定義されています1:
- 発熱≥38°C(100.4°F)が受診前後72時間以内に記録されることが、可能性のある脳炎(possible encephalitis)の診断に必要な6つの副次的基準の1つです
- 可能性のある脳炎には2つ以上、probable/confirmed encephalitisには3つ以上の副次的基準が必要です1
臨床的特徴
複数の最近の症例報告および研究から、ヘルペス脳炎における発熱の臨床的重要性が確認されています:
- 発熱は頭痛、意識変容、痙攣とともに最も一般的な初発症状です2, 3, 4
- 新生児ヘルペス脳炎の研究では、14例中の大多数で発熱と痙攣が初期症状として認められました5
- 典型的な臨床像は「発熱、頭痛、意識変容」の三徴です6
重要な注意点
ただし、以下の状況では発熱が欠如する可能性があることに注意が必要です1:
- 免疫抑制患者では発熱を呈さない場合がある
- 発熱は変動性があり、診察時に客観的な発熱が認められないこともある
- 受診時期によっては解熱している可能性がある
診断アプローチ
発熱の有無にかかわらず、ヘルペス脳炎が疑われる場合7:
- 直ちにアシクロビル投与を開始すべき(成人・小児:10 mg/kg静注8時間毎、新生児:20 mg/kg静注8時間毎)
- 治療開始の遅れは死亡率と重篤な後遺症のリスクを増加させる7
- 症状発現から4日以内の治療開始で死亡率が8%に低下7
発熱は非特異的所見ではありますが、ヘルペス脳炎の典型的な臨床像の重要な構成要素であり、その存在は診断を支持する重要な所見です。