髄液検査の解釈
細菌性髄膜炎では、髄液糖/血糖比<0.23、髄液蛋白>220 mg/dL、白血球数>2,000/μL、好中球数>1,180/μLが典型的であり、これらの所見を総合的に評価して診断を進めるべきです。 1
髄液圧(開放圧)の解釈
- 正常値: 通常20 cm H₂O以下
- 細菌性髄膜炎: 通常20 cm H₂Oを超えて上昇、しばしばそれ以上に高値 2
- ウイルス性脳炎: 中等度上昇が典型的 3
- 重要な注意点: 座位で測定すると人為的に高値となるため、側臥位での測定が必須 2
髄液圧の上昇は非特異的所見ですが、細菌性髄膜炎、クリプトコッカス髄膜炎(HIV患者の75%で>200 mm H₂O)、腫瘍性髄膜炎で特に顕著です 4。
細胞数の解釈
細菌性髄膜炎の典型像
ウイルス性髄膜炎・脳炎
- リンパ球優位: 数十~数百/μL 3
- 早期例外: エンテロウイルスなど初期には好中球優位もあるが、総白血球数は通常2,000/mm³を超えない 2
- HSV脳炎の5-10%: 初回髄液検査が完全正常(無細胞)のこともある 3
鑑別のポイント
正常開放圧、白血球数<5/μL、正常蛋白の3つが全て揃えば、免疫正常者では髄膜炎をほぼ除外できます 1。
蛋白の解釈
基準値と病的所見
- 正常値: 年齢により異なるが、一般的に<60 mg/dL
- 細菌性髄膜炎: >220 mg/dL(>2.2 g/L)が典型的 1
- 除外基準: <60 mg/dL(<0.6 g/L)では細菌性髄膜炎は unlikely 2
- ウイルス性: 軽度上昇のみ 3
重要な臨床的考慮点
- 年齢依存性: 高齢者、男性、糖尿病患者では独立して高値となる 5
- 血性穿刺の補正: 赤血球100個あたり蛋白0.1 g/dL(1 mg/dL)を減算 3
- アルブミン比(Qalb): 総蛋白よりも血液脳関門機能の評価に優れる 6
糖の解釈
診断的カットオフ値
- 髄液/血糖比:
- 絶対値:
測定上の重要注意点
髄液採取と同時に血糖測定を必ず行うこと - これなしでは髄液糖の解釈は極めて困難です 3。
低糖を呈する疾患
- 細菌性髄膜炎(特に肺炎球菌、結核、真菌)
- 腫瘍性髄膜炎
- 結核性髄膜炎
- ウイルス性では正常が典型的 3
pHについて
髄液pHは通常のルーチン検査には含まれていません。提供されたガイドラインでは髄液pHの臨床的有用性について言及されていません。
代替マーカー - 乳酸:
総合的診断アプローチ
細菌性髄膜炎の予測モデル
以下のいずれか1つでも該当すれば、99%の確実性で細菌性髄膜炎を示唆 7:
- 髄液糖 <34 mg/dL
- 髄液/血糖比 <0.23
- 髄液蛋白 >120 mg/dL
- 髄液白血球数 >12,000/mm³
- 髄液好中球数 >11,000/mm³