再灌流療法の選択
一次PCI(第一選択)
- 経験豊富なチームが初回医療接触から90分以内に実施可能な場合、一次PCIを選択すべきである12
- 線溶療法と比較して、開存率の改善、再閉塞の減少、左室機能の改善、臨床転帰の改善が示されている1
- ショック状態の患者や線溶療法の禁忌がある患者にも適応となる1
線溶療法(代替治療)
経験豊富なチームによる一次PCIが90分以内に実施できない場合、禁忌がなければ可能な限り早急に線溶療法を開始すべきである13
- 症状発現から1時間以内の投与で最大の効果(1000人あたり35人の死亡を回避)3
- 症状発現から12時間以内であれば明確な効果あり3
- 症状発現4時間以降に来院した患者には、テネクテプラーゼまたはアルテプラーゼなどのフィブリン特異的薬剤が推奨される1
初期治療(救急外来到着時)
患者到着後10分以内に評価を完了し、遅くとも20分以内に治療方針を決定する3
即座に投与すべき薬剤:
- アスピリン 150-325mg(咀嚼可能な製剤、腸溶錠は不可)142
- 酸素(経鼻カニューレ)3
- 舌下ニトログリセリン(収縮期血圧<90mmHg、心拍数<50または>100bpmの場合は禁忌)3
- モルヒネまたはメペリジン(疼痛管理)3
抗血小板療法
抗凝固療法
一次PCI施行時:
線溶療法施行時:
入院後24時間の管理
- 継続的心電図モニタリング3
- 12時間は安静を保つ3
- 静注ニトログリセリン24-48時間33
- 早期静注β遮断薬投与後、経口投与へ移行(禁忌がない限り)33
- 低血圧、急性心不全、房室ブロック、重度徐脈の患者には静注β遮断薬は禁忌2
線溶療法後の管理
線溶療法後は全患者を直ちにPCI可能施設へ転送する2
レスキューPCI
早期侵襲的治療
線溶療法成功後2-24時間以内に冠動脈造影とPCIを実施2
長期管理
必須薬物療法:
- アスピリン 75-100mg/日(無期限)42
- 高用量スタチン(可能な限り早期開始、長期継続)2
- LDL-C目標値:<1.8mmol/L(70mg/dL)2
- β遮断薬(心不全またはLVEF<40%の患者)42
- ACE阻害薬(心不全、左室収縮機能障害、糖尿病、前壁梗塞の患者には発症24時間以内に開始)2
- ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)(LVEF<40%かつ心不全または糖尿病の患者で、ACE阻害薬とβ遮断薬を既に服用している場合)2
重要な注意点:
- カルシウム拮抗薬は死亡率を低下させず、特定の患者では有害3
- NSAIDsおよびCOX-2阻害薬は死亡、再梗塞、心破裂のリスクを増加させるため中止4
- 経口抗凝固薬の適応(心房細動、左室血栓、機械弁)がある場合、アスピリンの代替として使用可能4
退院前評価:
4-7日後に亜最大運動負荷試験、または10-14日後に症状限界性運動負荷試験を実施33
生活習慣の改善:
この治療アルゴリズムは、死亡率と罹患率を最小限に抑え、生活の質を最大化することを目的としている。時間依存性の治療効果が明確であるため、迅速な診断と治療開始が最も重要である。