メトホルミンを造影剤検査前後に休薬する理由
メトホルミンを造影剤検査の前後48時間休薬する主な理由は、乳酸アシドーシスのリスクを軽減するためです。造影剤は急性腎障害を引き起こす可能性があり、腎機能が低下するとメトホルミンが体内に蓄積して乳酸アシドーシスを発症するリスクが高まります。 1, 2
乳酸アシドーシスのリスク要因
- メトホルミンは主に腎臓から排泄されるため、腎機能が低下すると体内に蓄積し、乳酸アシドーシスのリスクが高まります 2
- ヨード造影剤の投与は急性腎機能低下を引き起こす可能性があります 3, 1
- 乳酸アシドーシスは発生率は低いものの(2〜9/100,000患者/年)、死亡率が30〜50%と高い合併症です 1
- 高齢者(65歳以上)は肝臓、腎臓、心臓の機能低下の可能性が高く、メトホルミン関連乳酸アシドーシスのリスクが増加します 2
造影剤による腎障害のリスク要因
- 既存の腎機能障害(特にeGFR < 60 mL/min/1.73 m²)3, 1
- 糖尿病(特に腎機能障害と併存する場合)3
- 脱水または循環血液量減少 3
- 腎毒性のある薬剤の併用 3, 1
- 高用量の造影剤 3, 1
- 70歳以上の高齢 3, 1
- 心血管疾患 3, 1
メトホルミン休薬に関する推奨事項
- 造影剤検査を受ける場合、メトホルミンは検査時に中止し、検査後48時間は再開しないことが推奨されています 1
- 腎毒性のリスクが高い場合、メトホルミンは腎機能が再評価され正常であることが確認された後にのみ再開すべきです 1
- 腎毒性のリスクが低い場合でも、腎機能評価なしにメトホルミンを再開すべきではありません 1
- 造影剤検査中はメトホルミンの代わりに代替の血糖コントロール薬を検討する必要があります 1
腎機能に基づく具体的な推奨事項
- eGFR < 30 mL/min/1.73 m²の患者では、メトホルミンは禁忌です 2
- eGFR 30〜60 mL/min/1.73 m²の患者、肝障害の既往がある患者、アルコール依存症または心不全の患者、または動脈内ヨード造影剤を投与される患者では、造影剤検査の時点またはその前にメトホルミンを中止すべきです 2
- 造影剤検査後48時間でeGFRを再評価し、腎機能が安定していればメトホルミンを再開できます 2
注意点と落とし穴
- 最近のシステマティックレビューでは、eGFR > 30 mL/min/1.73 m²の患者では、静脈内造影剤投与の前後にメトホルミンを中止する必要はないという証拠が示されていますが、エビデンスの質は限定的です 4
- しかし、現時点では、保守的なアプローチとして、造影剤検査の前後48時間のメトホルミン休薬が推奨されています 5
- 腎機能が正常な患者でも、造影剤投与後に乳酸アシドーシスを発症した症例が1例報告されています 6
- 1型糖尿病患者では、ケトアシドーシスのリスクがあるため、基礎インスリンを決して中止すべきではありません 1
メトホルミンと造影剤の併用に関するガイドラインは国際的に一貫性がなく、エビデンスの質も限られていますが、患者の安全を最優先するため、造影剤検査の前後48時間のメトホルミン休薬が現在の標準的な推奨事項です 5, 1。