SGLT2阻害薬とビグアナイド薬の周術期の休薬について
SGLT2阻害薬は手術前日と手術当日に休薬すべきであり、ビグアナイド薬(メトホルミン)は造影剤使用時や手術時など食事制限がある場合に一時的に休薬すべきである。 1, 2
SGLT2阻害薬の周術期管理
休薬の必要性と理由
- SGLT2阻害薬は正常血糖ケトアシドーシス(euDKA)のリスクがあるため、周術期に休薬が必要である 1, 2
- 英国のガイドラインでは、SGLT2阻害薬は手術前日と手術当日に休薬することが推奨されている 1, 2
- SGLT2阻害薬による正常血糖ケトアシドーシスは、インスリン/グルカゴン比の変化によって引き起こされ、血糖値が正常でもケトン体産生が促進される 2, 3
休薬のタイミング
- 英国のガイドラインでは手術前日と手術当日の休薬が推奨されている 1, 2
- 米国心臓協会のガイドラインではより保守的に、予定手術の3-4日前からの休薬が推奨されている(カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジンは≥3日前、エルツグリフロジンは≥4日前) 2
- 緊急手術では予定手術よりもケトアシドーシスのリスクが高い(1.1% vs 0.17%) 2, 3
再開のタイミング
- 手術後、患者が通常の食事と飲水を再開し、臨床的に安定していることを確認してから再開すべきである 2
- 入院患者の場合、食事と飲水が正常に行われ、毛細血管ケトン値が0.6 mmol/L未満であることを確認してから再開を検討する 2
特別な配慮
- 心不全患者でSGLT2阻害薬を使用している場合、休薬により心不全が悪化する可能性があるため、リスクとベネフィットの慎重な評価が必要である 2, 4
- 糖尿病のない患者でも心不全などの適応でSGLT2阻害薬を服用している場合、正常血糖ケトアシドーシスのリスクがある 2, 3
ビグアナイド薬(メトホルミン)の周術期管理
休薬の必要性と理由
休薬が必要な状況
- ヨード造影剤を使用する検査前(特にeGFRが30-60 mL/min/1.73m²の患者、肝障害、アルコール依存症、心不全の既往がある患者) 5
- 手術など食事と水分摂取が制限される処置の前 5
- 低酸素状態(急性うっ血性心不全、心血管虚脱、急性心筋梗塞、敗血症など)がある場合 5
再開のタイミング
リスク軽減戦略
- 適切な水分補給を維持し、長時間の絶食を避ける 2, 5
- 周術期には血糖値とケトン体レベルのモニタリングが重要である 2, 3
- 避けられない長時間の絶食がある場合は、ケトン体産生を軽減するためにブドウ糖含有の静脈内輸液を検討する 2
- 患者には乳酸アシドーシスやケトアシドーシスの症状(嘔気、嘔吐、腹痛、全身の脱力感など)について教育し、症状が現れた場合は直ちに医療機関を受診するよう指導する 3, 5
結論
SGLT2阻害薬は正常血糖ケトアシドーシスのリスクがあるため、手術前日と手術当日に休薬すべきである。ビグアナイド薬(メトホルミン)は乳酸アシドーシスのリスクがあるため、造影剤使用時や手術など食事制限がある場合に一時的に休薬すべきである。両薬剤とも、患者が通常の食事と飲水を再開し、臨床的に安定していることを確認してから再開すべきである。