バンコマイシン投与量:持続血液濾過透析(CHDF)患者の場合
CHDFを受けている患者のバンコマイシン投与量は、腎機能低下を考慮し、初回投与量15-20 mg/kgの後、維持量は透析効率に基づいて調整し、トラフ値15-20 μg/mLを目標とすべきである。
初回投与量
- 重篤な感染症に対しては、腎機能に関わらず初回投与量は少なくとも15 mg/kgとすべきである 1
- 体重に基づいた投与量計算が必要であり、実体重を使用する 2
- 投与速度は10 mg/分以下とし、少なくとも60分以上かけて投与する 1
維持投与量
- CHDFを受けている患者では、バンコマイシンのクリアランスが変化するため、通常の腎機能障害患者よりも慎重な投与量調整が必要である 1
- 維持投与量は透析効率(濾過流量、透析液流量)に基づいて調整する必要がある 3
- 一般的に腎機能障害患者では、バンコマイシン1日投与量(mg)は糸球体濾過量(mL/分)の約15倍が目安となる 1
モニタリング
- トラフ濃度のモニタリングは必須であり、次回の透析セッション直前に測定する 3
- 最初のトラフ値は2回目または3回目の維持投与量の前に測定すべきである 3
- 重篤な感染症(心内膜炎、骨髄炎、髄膜炎など)では、トラフ濃度15-20 μg/mLを目標とする 2
- 治療期間中、少なくとも週1回はトラフ濃度をモニタリングする 3
特別な考慮事項
- 心不全患者ではバンコマイシンのクリアランスが低下することが報告されており、左室駆出率(LVEF)が40%未満の患者では、クリアランスが有意に低下する 4
- クレアチニンクリアランスだけでなく、左室駆出率もバンコマイシンクリアランスの重要な独立変数である 4
- 高濃度(5 mg/mL以上)の投与は注入関連の有害事象リスクを高める可能性がある 1
投与量調整の注意点
- 高齢者では、腎機能低下により予想以上の投与量減量が必要になることがある 1
- 血清クレアチニン値のみが分かっている場合、以下の式でクレアチニンクリアランスを推定できる 1:
- 男性:[体重(kg) × (140 - 年齢)] / [72 × 血清クレアチニン濃度(mg/dL)]
- 女性:上記の値 × 0.85
副作用モニタリング
- 高いトラフ濃度を目標とする場合、腎毒性のリスクが増加するため注意深いモニタリングが必要である 3
- バンコマイシンのMICが2 μg/mL以上の場合、目標AUC/MIC比が達成できない可能性があるため、代替薬の検討が必要である 3
CHDFを受けている患者のバンコマイシン投与は、通常の腎機能障害患者よりも複雑であり、透析効率と患者の臨床状態に基づいた個別化が必要です。トラフ濃度の定期的なモニタリングが治療成功の鍵となります。